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Channel: ケルビム&KHSでゆくフォトマップブログ/自転車で巡る阪神間の道と街
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船坂峠(蓬莱峡の坂) (西宮市・兵庫県道15号神戸三田線(通称・有馬街道)上)

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蓬莱峡


今回紹介する峠は、阪神間ローディにとっては馴染み深いと思われます有馬街道(兵庫県道15号神戸三田線)上にある船坂峠です。そして、このコースは船坂峠に至るまでに見る事ができる景勝、蓬莱峡の坂としても有名です。

「船坂」とは、有馬街道を有馬温泉に向かって登って行き、登りつめた場所にある小さな集落の名前です。その歴史は古く、奈良時代の文献に船坂の字を見る事ができます。日本三古湯の1つ「有馬温泉」との繋がりが深く、有馬温泉への道中、あと一息というところで、この船坂の茶屋などで休憩することが多かったのではないかと推測されます。現在の船坂は西宮市に属し、住民約700人ほどの小さな集落となっています。地理的には標高350m〜400mにあり、寒暖の差が大きく、それを利用した野菜栽培が有名になっています。

ルートラボのMAP


コース全体概略

 始点   : 兵庫県西宮市・国道176号線上、大多田橋交差点
 終点   : 兵庫県西宮市・兵庫県道15号神戸三田線上、船阪交差点
 距離   : 5.6km
平均斜度 : 5.8%
獲得標高 : 330m

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国道176号線、大多田橋交差点。K15、通称「有馬街道」の起点となる場所です。祠には「馬頭観音」が祀られており、動物供養、特に街道脇に設置されている場合は、街道筋で亡くなる馬を供養するためと言われています。現代ですと、もちろん街道を馬で往来することはありませんので、道中の安全祈願という意味合いを感じることができます。


古い道標も交差点にあります。「左有馬道、右木ノ元」の字が見て取れますね。

      
有馬街道はJR福知山線の高架下を潜ってスタートします。高架を過ぎると右手にはすぐ採石工場があります。大多田川沿いに沢沿いを登って行くこの道には採石工場がいくつか見られます。六甲山特有の花崗岩質の岩肌が採石にはちょうど良いという感じでしょうか。

      
左手側に大多田川と東六甲の山並みを眺めながら勾配の緩い坂道を西へと登って行きます。そして大きな採石工場も見えてきました。


この採石工場の建物の壁に、ロッククライミングをするアスリートの絵が描かれていました。こんな絵が描いてあるって恥ずかしながら初めて知りました。

      
勾配は少しは厳しくなってきましたが、それでもまだまだ余裕の坂道です。阪急バスの「知るべ岩」なる停留所があります。 


こんな言い伝えがあったのですね。この「知るべ岩」は崖下にあるそうですが、ロード用のビンディングシューズでは行けそうもありません。     
      
遠方に岩肌が露出し風化によって荒々しい景観を作り出しているバッドランドが見えてきました。蓬莱峡です。

      
一路西に進んでいた道がヘアピンカーブで東側に折れ曲がり、また再び西へと折れ曲がります。


MAPにある通り、Z状の道となっていますが、蓬莱峡を遠望できるこのZ状の区間がこの峠道のハイライトです。

      
Z状の折れ曲がった道を西へ進んで行くと、「蓬莱峡」のバス停があります。記念プレートもあるので、そこで記念撮影。


蓬莱峡のバッドランド。この奇岩は著しく風化した花崗岩によるものらしい。詳しくは、wikiの「蓬莱峡」へ。その昔、私、fumitaroが、小学5年生の頃、男性の担任の先生がクラスの子どもたちを連れて、休日にここに遊びに連れて行ってくれました。今のご時世では、担任と言えども、休日にクラスの児童を集めて遠足のようなことをするというのは色々と難しいことになってしまいましたが、当時はまだ昭和の世で、こうしたほのぼのとしたやり取りができていたのですね。この断崖の森の中で、松ぼっくりを投げ合う戦争遊びをしたことをよく覚えています。


蓬莱峡の説明が彫られた金属製のプレートが設置されています。

      
蓬莱峡のバス停を過ぎてからも、ゆるやかな勾配の坂道が続きます。そして右手に立派な民家が見えてきたら船坂の集落はもうすぐです。

      
船阪の集落に入り、この交差点を左折、県道82号線を行くと、小笠峠を経て六甲ヒルクライムコース、宝塚、西宮市街地へと続く道となります。そして、この坂を登り切った場所が舟坂峠です。


舟坂峠にある山王神社。


現在、「船坂」の交差点がある地点です。右手に坂を下ると西宮市山口町の住宅地へ。左折すると小笠峠を登らず宝塚・西宮方面へと繋がる有料道路、西宮北自動車道(盤滝トンネル)です。交差点を直進すると有馬温泉へと至ります。

おまけ

船坂峠より西へ進むこと、3.6kmで有馬温泉郷に到着します。写真の場所は、有馬温泉の外湯「金の湯」です。有馬温泉名物の塩分と鉄分を多く含み褐色を呈する含鉄塩化物泉、いわゆる「金泉」を楽しむことができます。


有馬名物と言えば、こちらも有名ですね。温泉饅頭とてっぽう水です。てっぽう水は強い炭酸が特徴ですが、仄かにアップルサイダーっぽい味がするのは気のせいでしょうか。

「船坂峠」の評価



交通量 [C]
有馬温泉というメジャーな温泉観光地と都市部を繋ぐ道路であること、沿道に採石工場が並んでいることなどから観光に来る自動車、バス、タクシーやトラックといった色々の種類の交通量が多い道路と言えます。都市部周辺の小さな峠道でこれだけ交通量のある道路っていうのも珍しいと言えるかもしれません。

路面状況 [A]
観光、産業、生活道路として多様な側面を持ち、交通量の多い重要な道路ということで保全管理は行き届いているという印象です。

安全性 [B]
上記の理由で交通量は多いものの、片側2車線の道路が続きクルマも自転車を余裕を持って追い越してくれること、交差点なども少なく、脇道からの飛び出しや巻き込まれ、といった状況もないので交通量の割に安全性は高いという印象。

信号機 [S]
船坂の集落に「船坂小学校前」の交差点があるだけです。

エイド [C]
峠道の道中、補給の取れる店舗はもちろん自動販売機も峠の付近、船坂の集落まで行かないとありません。しかし、船坂に出ればコンビニがありますし、峠を下りると阪神間有数の観光地「有馬泉温郷」ですので自転車修理以外のエイド機能は揃っています。

景観 [A]
蓬莱峡や有馬温泉といった、雄大な自然界の力が悠久の歳月を経て地表に現れ出てきている独特な場所を登るコースです。峠道の左手側にある蓬莱峡や六甲の山並みを眺めながらゆっくりと登って行くのが楽しいコースでもあります。

用途 [通行・ヒルクライム]
この峠を目指して、というよりは有馬温泉や裏六甲、三田方面を目指す途中の通路として、あるいは東六甲ヒルクライムコースへの取りつきの1つとしてという利用の仕方がメインでしょう。私は宝塚の職場から自宅へ帰る際にこの道を走ることもあります。平日の夜間は国道176号に比べると圧倒的に交通量が少ないので、ゆったりと坂を登って帰るのもなかなか乙なものです。

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