阪急電車今津線、門戸厄神駅前に到着。今日はかねてからの念願をついに果たせると思うと胸がどきどき。
駅から西の方角へ、住宅街の中を向こうに見える緑の山の方に向かって進んでいきます。同じ進行方向に何人もの女学生さん。自転車でウロウロ、立ち止まって周囲の風景を写真に撮ったりしている私の姿は不審に見えていることだろうと思うとなんか居心地が悪い感じ。
しかし、それでもめげずに写真を撮る。この住宅街のすぐ後ろに緑に覆われた山が迫ってきています。この地域一帯は平野部なのに、ここだけこんもりとした山があってその風景は何とも不思議に思う。そして、その不思議の山の上には赤い瓦の瀟洒な建物。
あの山の上に見える一群の建物は、神戸女学院大学。通称「しんじょ」。いわずと知れた阪神間に名だたるお嬢様大学ですね。あ、もちろん、女子大に来たからといって麗しいご令嬢の美脚にドキドキしてる訳ではありませんよ。
これまでに何度もこの大学に仕事の関係で入らせてもらうことがありましたけど、この学校の校舎はアメリカ人牧師でもあり、建築家でもあったウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880−1964)の手になるもので、「スパニッシュミッションスタイル」と呼ばれる建築様式で建てられました。この学舎をつぶさに見学できる滅多にない幸運にドキドキと胸を昂まらせている訳なのです。以前にもこの学校の事を記事にしたことがありました。
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路地から正門までのアプローチ。門戸厄神前の、門前町らしい雑然とした住宅地の雰囲気とは一線を画す緑豊かな直線的な佇まい。ここが神戸女学院の正門前ですね。阪急門戸厄神駅を出た女学生さんたちのほとんどがこの門を通り、岡田山と呼ばれる小さな丘のような山を登って神戸女学院大学の学舎へと向かうわけです。
正門・門衛舎
スパニッシュ・ミッション・スタイルとは、 「スペインの 宣教師が、布教を進めていく中で、自国のバロックやルネッサンス建築をもとに作ったスタイルで、特徴としては、赤い屋根瓦と白い壁、そして窓や入り口、アーケードなどでアーチが使われている事などです」 (出典西宮ブログ) ということで、深い緑に覆われた学び舎へのゲートとして厳かな印象を受けます。もし確たる要件もなくこのゲートを通ろうとすれば、門衛さんにあっけなく追い返されてしまうような・・・・。
山上の校舎群までは桜の若葉が織りなす緑光を浴びながら坂道を登って行きます。厳かな正門に緑に包まれた通り道、で、女子大。この場に厳然としてある厳かにして秘めやかな雰囲気の根底にあるものは女性への憧憬、そういうものを感じずにはいられない気がします。
音楽館とジョージ・オルチン記念音楽館
深い緑の坂道を抜けると最初に現れるのがこの建物。もういきなりノックアウト。クリーム色の外壁に赤色を基調とした鮮やかな屋根瓦、そして様々な意匠を凝らした紋様やデザインに目を惹きつけられます。しかも、この建物を眺めているだけでも飽きないのに、この音楽館からピアノの音色がこぼれてくるではありませんか。
春の穏やかな日を浴びながら憩う女学生たち。なんともまぁ麗らかであることか。
学舎に入り、アーチの扉が並ぶ回廊を歩きます。
ギリシャ宮殿のような華麗な柱が並ぶロビー。とても大学の構内とは思えないような雰囲気。
ロビーから階段を上がって行くと図書館を見下ろす場所にギャラリーがあり、アンティーク調の色々な椅子が置いてあります。独りでゆったりと読書を楽しむのにぴったりな屋根裏のような場所です。こんな場所で美味しい珈琲を飲みながら好きな本を読む時間を持てたら最高だろうな。
ギャラリーから屋上に続く鉄製の螺旋階段。随所に打ち込まれたリベットが良い。この学舎にはこの螺旋階段のように「これはどこに行くのだ??」という仕掛けがいたる所に見られる。
ギャラリーから見下ろすと図書館がありますが、この天井模様の斬新なこと。書籍という人知の宇宙と天井の星々。無限の広がりをイメージしているかのようです。
アーチの窓から入る僅かな光が図書の海に落ち着きを与えていますね。この仄かに暗い感じがなんとも言えない。西洋建築はこの「暗さ」もしっかりデザインの一部として取り入れられている気がします。
中庭に出ます。女学院中等部の女学生さんたちが写生大会中。描き甲斐のある風景です。日傘を差して歩いているのが美術の先生の模様。
文学館
なんて長閑な風景なんだ。
総務館
建物の存在感は強いのに、しっかり周囲の風景に溶け込んでしまっている。
理学館
正面の扉から外に出ました。写生大会の女学生さんは皆日よけ対策ばっちりですね。
タイルや重厚な木製扉の上部のデザインもまた萌えますね。1つ1つに立ち止まるからなかなか先に進めない。
学舎の中はどこもが緑で溢れています。
ミッションスクールの敷地の中になぜかお社。これは岡田神社と言って、もともとこのお山にあった神社で、この敷地は神戸女学院の敷地ではないそうです。和式、洋式を問わず、平野部のなかにこんもりと鬱蒼をした森を抱える小山に神聖さを感じるのは同じですね。
シェークスピアガーデン。学舎の敷地の一角にこのようなイングリッシュスタイルのガーデンがありました。
とても爽やかな、飾り気は少なく気品のある庭園です。吹く風の仄かな薫りが清々しい。
たくさんの種類の野草、野の花とハーブ。ここにも写生に興じる方がいらっしゃいました。
岡田山の山中、山上にある神戸女学院の学舎をたっぷりと堪能してきましたが、時間も限られており、そろそろ後にしなければなりません。山中の登山道のような道を歩き山を降りて行きます。
正門が見えてきました。この学舎を作ったウィリアム・メレル・ヴォーリズは牧師でありましたが、この学校の中の講堂とチャペルという、彼の意匠がふんだんに施されたであろう両施設を今日は見学することは敵いませんでした。それにまだまだ知らぬ魅力がこの学舎群にはあるに違いありません。またの再来を誓いつつ、この学舎をあとにしました。